腹痛の対応方法
軽い腹痛で緊急性がない場合、次のような対応で症状を和らげることができます。
- 水分補給をしっかり行う(特に下痢・嘔吐がある場合)
- 消化の良い食事を摂る(おかゆ・うどん・スープなど)
- リラックスしてストレスを減らす(ストレスが原因の腹痛には効果的)
- 安静にして、腹部を温める(冷えによる腹痛の場合)
- 市販の胃腸薬を試す(ただし症状が続く場合は医療機関を受診)
普段から食生活やストレス管理に気をつけることで、腹痛のリスクを減らすこともできます。
一方で突然の腹痛は、軽いものから重篤な疾患まで幅広い原因が考えられます。自己判断で放置せず、痛みの部位や症状の経過をしっかり観察 し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
特に激しい痛みや出血、発熱を伴う場合は緊急受診が必要です。
受診の目安
緊急受診が必要な場合
次のような症状がある場合は、 すぐに病院を受診してください。
- 冷や汗をかくほどの激痛
- 吐血や血便
- 38℃以上の高熱を伴う腹痛
- 意識がもうろうとする
- お腹が異常に膨れている
- 長時間(6時間以上)強い痛みが続く
受診を検討すべき場合
- 痛みが 数日間持続 している
- 下痢や便秘が続く
- 食欲不振や体重減少がある
- 繰り返し腹痛が起こる
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)がある
このような場合、早めに 消化器内科を受診し、精密検査を受けることが大切です。
突然の腹痛の主な原因
突然の腹痛は、消化器系の疾患をはじめとしてさまざまな原因で発生します。軽度なものから命に関わる重篤な疾患まで、その原因は多岐にわたります。
消化器系の疾患が原因で起こる腹痛
感染性腸炎
ウイルスや細菌が腸管に感染することで起こります。代表的な原因としてノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター、サルモネラ菌などがあります。症状として、腹痛に加えて 下痢・嘔吐・発熱 を伴うことが多いのが特徴です。通常は数日で自然に回復しますが、 脱水症状 には注意が必要です。
虫垂炎(盲腸)
最初は みぞおち付近 に鈍い痛みが現れ、その後 右下腹部 に移動するのが特徴です。時間の経過とともに痛みが増し、発熱や吐き気を伴うこともあります。炎症が進行すると 虫垂破裂 を起こし、腹膜炎のリスクがあるため、痛みが続く場合は早急に受診が必要です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃酸が粘膜を傷つけることで潰瘍ができ、 みぞおちから脇腹 にかけて痛みを感じます。食後に痛みが増す場合は 胃潰瘍、空腹時に痛みが強まる場合は 十二指腸潰瘍 の可能性があります。ピロリ菌感染や鎮痛剤(NSAIDs)の長期使用が原因になることもあります。
腸閉塞
腸管の内容物が通過できなくなる状態です。腫瘍や癒着(過去の手術後に発生)などが原因となることが多く、強い腹痛、腹部膨満感、便やガスが出ないといった症状が現れます。放置すると腸管が壊死する危険があるため、緊急治療が必要です。
自律神経の乱れで起こる腹痛
ストレスや環境の変化による 過敏性腸症候群(IBS) が代表的です。特に 緊張やプレッシャーを感じる場面 で下痢や腹痛が起こりやすくなります。食生活の乱れや睡眠不足も悪化の要因になります。
その他の原因
食中毒
汚染された食品の摂取後 数時間~数日以内 に激しい腹痛、吐き気、下痢が発生します。原因菌によって症状の発現時間が異なりますが、 早期の水分補給が重要 です。高熱や血便がある場合は医療機関の受診を推奨します。
胆石症
脂っこい食事を摂った後、右上腹部 に痛みが出るのが特徴です。痛みが強くなる場合や、黄疸が見られる場合は、胆管炎の可能性があり緊急治療が必要です。
膵炎
急性膵炎 では 上腹部から背中にかけての激痛 が特徴的です。飲酒や脂肪の多い食事が発症のきっかけとなることが多く、場合によっては ショック状態 になる危険があります。急性膵炎が疑われる場合は、すぐに病院へ行く必要があります。