動悸・息切れ・呼吸困難の特徴
「動悸(どうき)」「息切れ」「呼吸困難」は、心臓や肺の働きに深く関係する症状です。これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。
軽い症状のうちは「ちょっと疲れているのかな」と見過ごされがちですが、実は深刻な病気のサインであることも少なくありません。特に、心臓や肺に負担がかかる病気が原因の場合、放置すると症状が悪化することがあるため注意が必要です。
共通する原因
動悸、息切れ、呼吸困難(息苦しさ)は、それぞれ異なる症状ですが、共通する原因が多くあります。たとえば、心不全では「動悸 → 息切れ → 呼吸困難」と段階的に悪化していくことがあり、早めの治療が重要です。また、狭心症や心筋梗塞では、動悸や息切れとともに胸の痛みを伴うことがあるため、症状の組み合わせにも注意が必要です。
「最近、いつもと違う」「ちょっとした動作で息切れするようになった」という場合は、症状が軽くても一度循環器内科を受診しましょう。特に、急な症状の悪化や胸の痛みを伴う場合は、放置せずにすぐに医療機関へ相談してください。
動悸(どうき)とは
動悸とは、自分の心臓の鼓動を強く感じる状態を指します。
- 心臓がドキドキする
- 脈が乱れる
- 急に心拍数が上がる
といった感覚があり、特に安静にしている時に突然感じる場合は要注意です。
たとえば、階段を駆け上がった後や、驚いたときに心臓がバクバクするのは正常な反応ですが、何もしていないのに急に心臓が速くなったり、不規則なリズムで脈が飛んだりする場合、心臓の病気やホルモンの異常が関係している可能性があります。
動悸の原因
動悸の原因には、以下のようなものがあります。
ストレスやカフェインの影響
緊張したり、不安を感じたりしたとき、交感神経が刺激されて心拍が増加します。コーヒーやエナジードリンクを飲んだ後に動悸を感じることもあります。
不整脈(期外収縮・心房細動など)
心臓の電気信号の異常によって、脈が速くなったり乱れたりします。心房細動の場合は血栓ができるリスクもあるため、注意が必要です。
貧血や甲状腺の異常
血液中の酸素が不足すると心臓は無理に働こうとするため、動悸が起こることがあります。特に甲状腺機能亢進症では、代謝が活発になり、心拍数が増加しやすくなります。
また、動悸とともにめまいや意識が遠のく感じがある場合は、心臓のポンプ機能が低下している可能性があるため、早めの受診が必要です。
息切れとは
息切れとは、
- 少し動いただけで息苦しくなる
- 深く息を吸えない
と感じる状態です。
たとえば、階段を上がるとすぐに息が切れてしまう、以前よりも歩くのがつらく感じるようになった、という場合は要注意です。
息切れの原因
息切れの原因には、心臓や肺の異常が関係していることが多く、以下のような病気が考えられます。
心不全による息切れ
心臓のポンプ機能が低下すると、全身に十分な血液を送り出せなくなり、結果として肺に血液が滞留してしまいます。これにより肺に水がたまり、呼吸が苦しくなるのです。特に、横になると息苦しさが増す場合は、心不全のサインかもしれません。
狭心症や心筋梗塞
心臓の血管が狭くなると、心臓が酸素不足に陥り、動いたときに強い息切れを感じます。胸の痛みを伴うことが多く、冷や汗が出たり、痛みが広がったりする場合は緊急対応が必要です。
肺の病気(COPD・間質性肺炎など)
喫煙やアレルギー、ウイルス感染が原因で肺の機能が低下すると、酸素を取り込む力が弱まり、息切れが起こりやすくなります。特に、長年の喫煙歴がある人はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性が考えられます。
息切れは「年齢のせい」と思われがちですが、実際には病気が隠れていることが多いため、症状が続く場合は検査を受けることをおすすめします。
息苦しい呼吸困難とは
呼吸困難とは、
- 息が吸えない
- 息が詰まる感じがする
- 窒息しそうな感覚がある
といった症状です。
息切れよりもさらに重い状態で、生命の危険があるケースもあります。
呼吸困難の原因・注意が必要なケース
特に注意が必要なのは、次のような場合です。
急性心不全による呼吸困難
心臓の機能が急激に低下すると、肺に水がたまり、呼吸が困難になります。急に強い息苦しさを感じ、横になると悪化するのが特徴です。
肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
長時間の座位や手術後に血栓ができ、それが肺の血管を詰まらせると、突然の激しい息苦しさを引き起こします。呼吸困難だけでなく、胸の痛みや動悸を伴うこともあります。
喘息やCOPDの発作
気管支が急に収縮し、息がゼーゼーしたり、呼吸が苦しくなったりします。特に夜間や運動後に悪化しやすいです。
呼吸困難が急に起こった場合は、迷わず救急対応を考える必要があります。特に「突然の強い息苦しさ」「横になれないほどの苦しさ」「意識がもうろうとする」といった症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。