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マイコプラズマ肺炎|大人の長引く咳、熱が下がっても続く咳

健康コラム

こんにちは。あすと長町はんだクリニック院長の半田です。

秋から冬にかけて、外来では「熱は下がったのに、咳だけがずっと続いている」「子どもの咳がおさまったと思ったら、今度は自分が咳きこむようになった」というご相談が増えてきます。その原因のひとつがマイコプラズマ肺炎です。子どもの病気というイメージがありますが、大人もかかります。この記事では、2026年の流行状況、大人に多い症状、検査と治療、薬が効きにくい「耐性菌」の話、家族内でうつさない工夫、受診の目安についてお話しします。

🦠 1)マイコプラズマ肺炎はどんな病気か

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌によって起こる肺炎です。ふつうの細菌とちがって細胞壁(さいぼうへき:菌のまわりを囲むかたい壁)を持たないという特徴があり、これが薬の選び方にも関わってきます。

うつり方は、咳やくしゃみのしぶきによる飛沫感染や、手を介した接触感染です。うつってから症状が出るまでの潜伏期間は、通常2〜3週間と長めです。幼児から若い世代が中心ですが、大人もかかります。また、現時点で承認されたワクチンはありません。

肺炎としては軽いことが多く、歩いて通勤・通学できてしまう方も少なくありません。そのため「ただのかぜ」と思って過ごしているうちに、咳だけが長引いて受診される、というパターンがよく見られると感じています。

📈 2)2026年の流行状況

マイコプラズマ肺炎は、数年おきに大きな流行をくり返すことが知られています。2024年には、国の調査で現在の調査方法になった1999年以降で最も多い報告数となり、厚生労働省から医療機関に注意をよびかける連絡が出されました。

2026年は、国立健康危機管理研究機構が公表している感染症週報で、9月中旬(9月7日〜13日の週)に全国の報告数が増加したと報告されています。ただし、報告数は都道府県によって差があります。

流行状況は週ごとに変わります

この記事に書いた状況は、2026年9月時点で確認できた情報です。最新の状況は、国立健康危機管理研究機構や宮城県・仙台市が公表している感染症情報でご確認ください。

😷 3)大人に多い症状の特徴

はじめは、熱・だるさ・頭痛など、かぜやインフルエンザに似た症状で始まることが多く、そのあとに咳が出てきます。大人で特に多いのは、熱が下がったあとも咳だけが長く続くという経過です。痰があまりからまない、コンコンという乾いた咳が多いのも特徴のひとつです。

夜や明け方に咳きこんで眠れないことがあったり、咳が強くて胸やおなかの筋肉が痛くなったりする方もいらっしゃいます。家族や職場、学校などで同じような咳の人がいる場合は、診察のときにぜひ教えてください。

このほかにも、ゼーゼーという呼吸(喘鳴:ぜんめい)、発疹、吐き気や下痢、胸の痛みが出ることがあります。まれに、肺以外の場所に合併症を起こすこともあるため、「咳だけだから」と我慢しすぎないことが大切です。

🔬 4)検査と治療、そして「耐性菌」の話

どんな検査をするの?

まずは、いつから・どんな咳か、熱の経過、まわりに同じ症状の人がいるかなどを詳しくお聞きし、胸の音を聞きます。マイコプラズマ肺炎は、聴診器では異常が目立たないこともあるため、必要に応じて胸部レントゲン検査で肺炎の有無を確認します。

マイコプラズマの診断には、のどの奥をぬぐって調べる抗原検査や遺伝子検査、血液検査などの方法があります。どの検査が適しているかは、症状が出てからの日数や体の状態によって変わりますので、お話をうかがったうえで選ぶようにしています。

抗菌薬が「効きにくい」マイコプラズマがいる

マイコプラズマ肺炎の治療には、抗菌薬(細菌をやっつける薬)を使います。第一に選ばれることが多いのは「マクロライド系」とよばれる種類の薬です。

ところが近年、このマクロライド系の薬が効きにくい「耐性菌」が増えています。厚生労働省の資料では、一部の地域で2024年時点で60%以上が耐性を示していると報告されています。

このため、マクロライド系の薬を飲みはじめて48〜72時間たっても熱が続く場合は、耐性菌の可能性を考えて、別の種類の抗菌薬への切りかえを検討します。大人の場合は「テトラサイクリン系」、次に「キノロン系」とよばれる薬が候補になります。年齢や妊娠の有無、持病などによって使える薬が変わるため、医師が一人ひとりに合わせて選びます。

抗菌薬を飲むときの注意

熱が下がっても、処方された日数は飲みきるようにしてください。2〜3日飲んでも熱が下がらないときは、早めに再受診していただければと思います。以前もらった抗菌薬や、家族の薬を自己判断で飲むのはやめましょう。また、抗菌薬で熱が下がっても、咳はしばらく残ることがあります。

👨‍👩‍👧 5)家族内感染を防ぐために

マイコプラズマ肺炎は、家庭や学校などで集団発生がしばしば起こります。潜伏期間が2〜3週間と長いため、子どもが治ったころに親が発症するというように、時間差で家族に広がることがあります。

ご家庭でできることとしては、こまめに石けんで手を洗うこと、咳が出ている人はマスクをつけること(咳エチケット)、タオルや食器の共用をさけること、部屋の換気をすることが挙げられます。家族に咳が続く人がいるときは、ご自分の体調の変化にも気をつけていただければと思います。

お子さんの登園の目安について、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では「発熱や激しい咳が治まっていること」とされています。学校や職場への復帰は、体調と園・学校・職場のルールをふまえてご相談ください。

🏥 6)受診の目安

状態目安
様子を見てよい熱がなく、食事や睡眠がとれていて、咳が少しずつ軽くなっている
早めに受診咳が2〜3週間以上続く/熱が下がったあとも咳がひどい/夜に咳で眠れない/家族や職場にマイコプラズマと診断された人がいる/抗菌薬を2〜3日飲んでも熱が下がらない
すぐに救急息が苦しくて横になれない/唇や顔色が紫っぽい/肩で息をしている、会話が続かない/胸の痛みが強い/意識がぼんやりしている、反応がにぶい

持病(ぜんそく、心臓や肺の病気、糖尿病など)のある方や、ご高齢の方は、症状が軽くても早めにご相談ください。

✅ まとめ

マイコプラズマ肺炎は大人もかかり、熱が下がったあとも咳が長く続くことがあります。2026年は9月中旬に全国の報告数が増加したと報告されており、マクロライド系の薬が効きにくい耐性菌もあるため、熱が続くときは薬の切りかえを検討します。潜伏期間が2〜3週間と長く、家族に時間差で広がることもあります。息苦しさや顔色の悪さがあるときは、すぐに救急を受診してください。

長引く咳は、体力も気力も少しずつ削られていくものです。「このくらいで」と思わず、つらいときは早めに相談していただければと思います。

咳が長引くときの原因や受診の目安については、「咳が1か月止まらない」の記事や長引く咳と痰についての記事でもくわしく解説しています。あわせてご覧ください。

あすと長町はんだクリニックでは長引く咳・痰のご相談を承っています。発熱やのどの痛みなどのかぜ症状を伴う場合は発熱外来をご利用ください。日曜日も診療しております。

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