健診の血糖・HbA1cで引っかかったら|「予備群」は最後の分かれ道
「HbA1cが少し高め、と言われた」
「『糖尿病予備群』って、つまりまだ糖尿病じゃないんでしょう?」
「甘い物を減らせばいいんだよね、たぶん」
こんにちは。あすと長町はんだクリニックです。健康診断シリーズの最終回は、血糖・HbA1cの話です。
最初に、この記事でいちばん伝えたいことを書きます。
「予備群」は、糖尿病への一本道ではありません。まだ引き返せる、最後の分かれ道です。そして引き返すのに使える武器は、はっきり分かっています。
🔤 HbA1cとは——「ごまかしのきかない数字」です
血糖値は、直前の食事で簡単に上下します。健診前日に節制すれば、多少はよく見せられてしまう。
そこでHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。これは過去1〜2か月の血糖の平均を映す数値。赤血球のヘモグロビンに糖がどれだけ結びついたかを見るので、前日の節制ではごまかせません。
- 6.5%以上——糖尿病型。きちんとした評価が必要です
- 5.6〜6.4%——いわゆる「予備群」の領域。この記事の主役です
⚠️ 「まだ糖尿病じゃない」の本当の意味
予備群の段階では、症状はまったくありません。だから「セーフだった」と受け取ってしまいがちです。
でも、知っておいてほしいことが2つあります。
1つ目。予備群の段階から、血管のダメージはもう始まっています。動脈硬化は糖尿病と診断される前から静かに進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクはすでに上がり始めています。
2つ目。糖尿病になってからでは、「治す」ではなく「一生付き合う」になります。糖尿病の合併症——目(失明の原因)、腎臓(透析の原因)、神経——は、どれも静かに進んで、戻りません。
予備群という言葉の正しい訳は「セーフ」ではなく、「今なら間に合う」です。
🌿 予備群のうちに効くこと——優先順に3つ
① 体重を3〜5%減らす
いちばん証拠のはっきりしている対策です。大幅な減量は要りません。70kgの方なら2〜3.5kg。この小さな減量で、糖尿病への進行リスクを大きく下げられることが、大規模な研究で確かめられています。
② 甘い飲み物を、まずやめる
食べ物より先に、飲み物です。ジュース・加糖コーヒー・スポーツドリンクの糖は、吸収が速く血糖を一気に上げます。「食事を我慢する」より「飲み物を変える」ほうが、少ない努力で大きく効きます。お茶・水・無糖に置き換えるだけです。
③ 食後に10〜15分歩く
血糖がいちばん上がるのは食後です。その時間帯に筋肉を動かすと、筋肉が糖を使ってくれて、血糖の山が低くなります。昼食後の散歩、夕食後の片付けと徒歩の買い物。「食後に動く」を合言葉にしてください。
この3つに共通するのは、頑張りの量ではなく、置き場所の工夫だということです。以前の記事「『できるだけ塩分を控えて』では血圧は下がりません」でお話しした考え方と同じで、続かない完璧より、続く小さな一歩が数字を動かします。
🏥 受診のタイミング
- HbA1c 6.5%以上——早めに受診してください。評価と治療方針の相談が必要です
- 5.6〜6.4%で、肥満・高血圧・脂質異常・家族歴のどれかがある——一度ご相談を。リスクの組み合わせで対応が変わります
- のどが渇く・尿が多い・体重が急に減った——予備群かどうかにかかわらず、すぐ受診を。血糖がかなり高いときのサインです
✅ まとめ
- HbA1cは過去1〜2か月の平均。前日の節制ではごまかせない、正直な数字です
- 「予備群」の訳は「セーフ」ではなく「今なら間に合う」。血管のダメージはもう始まっています
- 体重3〜5%減が最強の対策。70kgなら2〜3.5kgで十分です
- 甘い飲み物を変える・食後に10分歩く。頑張りの量より、置き場所の工夫です
- のどの渇き・多尿・急な体重減少は、待たずに受診を
健診シリーズは今回で完結です。要再検査の総論、肝機能、尿検査もあわせてどうぞ。
あすと長町はんだクリニックでは生活習慣病の診療を行っています。結果票をお持ちいただければ、その場で一緒に読み解きます。日曜日も診療しております。